学生と患者さんの関わり

30年近く前の話を聞いても。
・・・と思われることもあるかとは思いますが。

人と人との関わりって一期一会という考え方もありますし、部下と上司、客と店主といった関わり方、友人やパートナーシップとかそういうプライベートでのものもありますし、「人と関わらずに生きる」ってことは、地球人をやる限りちょっと困難なことでもあります。
ここで一番言いたいことは、医療従事者と患者さんとの関わりって特殊であるということ
少しでも良くしてもらいたい、良くしてもらっているからお礼がしたい、そんなこんなで昔は袖の下なんてものもありました。心づけを禁止している病院や施設もありますが、現代社会でも実際はよく聞きます。患者さん側からすると「お礼の気持ち」を表現する方法なのでしょう。
しかし、良い関係が持続していれば両方が良い気分またはニュートラルな気持ちで治療に専念できますが、いったん悪い関係となったり「違う感情」が芽生えて憎悪や敵対心に変わったりすれば
あっという間に関係はこじれて大変なことになってしまいます。そんな現場をたくさん見てきました。
看護学生さんと患者さんの関わりも、これまた特殊です。
「学生さんだから」と初めから関わりを拒否される患者さんもおられますが、これは権利です。重病であることを急に告げられてまだ受容できていない状況下でひよっ子にあれやこれやと聞かれたり
ひよっ子の一挙一動が気になる!!という状況であれば、患者さんに気の毒です。
病状が長く、学生さん慣れした患者さんも中にはたくさんおられます。学生さん同士で申し送りするパターンもありますし、患者さん同士で「次の2年生は・・」なんて、実習を楽しみにしておられる患者さんも。
長らく入退院を繰り返し学生間でもとても人気のあった(ざっくばらんで優しくて、学生が欲しいレスポンスが返ってくるような)患者さんが突然亡くなったときは、時が一瞬止まったようになって「やっぱり人間て死んでいくんだな」とショックを受けたのを覚えています。健診で突然ステージⅣの癌が見つかってあっという間に終末期になった患者さんの奥様に泣きつかれたことも。
当時アルバイトに行っていた焼肉屋の女将が腕を骨折したと痛そうにしていたけれど、調べたら骨メタで。入院先がたまたまわたしの実習先の病院で。「まさか、あんたの手にかかるとは(笑)」と手を握り合ったこと・・一つ一つの場面が切り取られた形でしか思い出せませんが、病院・施設は毎日いろんなドラマがあります。


ある程度学生さんと関わりを持ってきている患者さんは、未来の医療従事者になる大切な存在として「見守る」「育成に協力する」そんな姿勢で関わってくれます。受け入れる病棟でも患者さんに気を使い、前もって様々な説明をして少しでも患者さんの不安のないようにしているのも現場スタッフです。全ては、未来の医療を支えるため。医師もですが、ナースや介護職の方々がいなくなればあっという間に医療崩壊ですから。それを身をもって体験した昨今ですよね。でもそこには、「厳しくしないこと」=「離職を防ぐこと」という掟みたいなものが横行しており、わたし自身としては少しそこには合意できかねますが、
どこの社会でも今はそんな感じなのでしょうか。

〇〇ハラスメントになるから、ある程度以上の距離感を保つ指導者が良いとされる時代です。
でも命に係わる仕事をする以上、少し厳しいことを経験することは覚悟の上です。命とかかわるのですから。

こんな世の中になってしまい、実習が激減したり全くできなかったりして患者さんと触れ合うチャンスがないままに現場に放り出されることにもなんというか本当にかわいそうでなりません。
理想と現実は全く違います。でも、理想を追い続けて自分なりに肉付けして行き、イメージェリングを大切にしながら日々振り返りをしていると
それなりに自分で自分にグッジョブ!と言えるケアができるようになります。机上で話していてもハテナ?でしょうが、諦めずに繰り返しやっていくことが大事です。現代は時間の流れが速く情報もスピーディにゲットできます。わたしの過ごした学生時代とはまた違っています。
でも、そこに至るにはすぐではなく、ある程度時間はかかることをご了承ください。

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